☆ スピーチの練習で、伝える力がつく
スピーチの練習で、言いたいことをまとめる力がつきます。
要点をまとめて、わかりやすく伝える力は、仕事でもプライベートでも、とても大切です。
スピーチは、伝える力の練習の場です。
☆ 言葉にすることで、考えがまとまっていく
言葉は、伝えるための道具だけでなく、考えるための道具でもあります。
思考と言葉は、切り離すことができません。
言葉がなければ、深く考えることはできないのです。
まず、言葉にしてみます。
思いついたことを言葉にするのです。
最初は、形になっていなくても、言葉にすることで、考えがまとまっていきます。
だんだん話す内容が姿をあらわします。
☆ 短いスピーチの練習を続けると?
(1)簡潔に話せるようになる。
必要な情報と不要な情報を見分ける力がつくから。
(2)長いスピーチもうまくできるようになる。
長いスピーチは、短いスピーチが集まったものだから。
(3)アドリブで話せるようになる。
ネタの引き出しが増えるから。
(4)会話もうまくなる。
スピーチは、大勢の前でする「1対1の会話」だから。
☆ 人前は、少し高めの声で話そう
人前で話すときは、ふだんの声の高さではいけません。
人前は、高めの声のほうが、話を聞いてもらえるのです。
人前で、ふだんの声の高さでも、聞いてもらえるのは
↓
聞き手が「聞きたい」と強く思うときだけ
人前は、少し高めの声で話しましょう。
具体的には、「ソ」の音まで使います。
これは、自分の音階での「ソ」。
つまり、出しやすい高さでの「ドレミファソ」の「ソ」です。
「ソ」の音まで使うと、イキイキとした印象になります。
ふだんの声の高さはそのままで、人前は少し高めで話すのです。
☆ 音域が狭いと、つまらない話に聞こえる
脳は、高い声に強く反応します。
音の高低差が少ない話し方は、単調に聞こえます。
スピーチやプレゼンは、文の頭を高い音で出て、音域を広げましょう。
高く出ると、文の頭ということがよくわかります。
強調したい言葉は、高い音を使っているかどうか。
音域が狭いと、いい話もつまらない話に聞こえます。
☆ スピーチは、大勢いても、1人に話そう
大勢の前で話すとき、2つの話し方があります。
① 大勢に話す
② 大勢いても、1人に話す
有名人は①でもいいのですが、そうでなければ、②がいいです。
1人に話すと、相手の反応がわかります。
反応がわかると、話しやすいし、気持ちが乗ります。
1対1のキャッチボールを、相手を変えながらするイメージです。
50人いても、500人いても、意識するのは1人です。
☆ スピーチは、話しかけるように話そう
スピーチは、話しかけるように話しましょう。
聞き手との距離が近くなります。
しかし、話しかけるのは、簡単ではありません。
一度、語尾に「ね」「よ」をつけてみましょう。
話しかける雰囲気をつかむことができます。
「これをつけると、話しかけになっていきます」
↓
「これをね、つけるとね、話しかけにね、なっていくんですね」
これは、あくまで、雰囲気をつかむための練習です。
「ね」「よ」をつけすぎると、失礼になることがあります。
☆ スピーチの上手な人は、息をゆっくり吸える
スピーチは、誰でも緊張します。
緊張すると、呼吸が早くなります。
呼吸が早くなると、早口になります。
だから、スピーチは、呼吸をゆっくりさせる必要があります。
とくに、息を吸うときにゆっくりです。
スピーチが上手かどうかは、息の吸い方でわかります。
スピーチの上手な人は、息をゆっくり吸うことができるのです。
☆ 腹式は、胸式より、呼吸のリズムをゆっくりできる
腹式呼吸は、腹圧をかけるので、胸式呼吸より、呼吸のリズムをゆっくりできます。
息を吸うのもゆっくりできるので、長い「間」もとれます。
腹式呼吸のほうが、落ち着いた話し方ができるのです。
☆ スピーチをわかりやすくするには?
(1)具体的に話す。
具体的に話すと、イメージしやすくなります。
犬 ⇒ チワワ ⇒ 茶色のチワワ
(2)センテンス(文)を短くする。
話をするときは、文がダラダラ続くと、聞き手が理解できません。
1センテンス1情報が、もっとも理解しやすいです。
(3)感情を出す。
淡々とした一本調子の話し方では、聞く気がしません。
声に変化をつけましょう。
☆ スピーチは、「くり返し」が大切
書くとき ⇒ 通常は、「くり返し」を避ける
(理由)何度も読み返せるから
話すとき ⇒ 「くり返し」が大切
(理由)言葉が消えるから
聞き手が、聞いていないときがあるから
ラクに聞けるように、くり返す
聞き手は、話を聞くときに一語も聞き逃せないとなると、ヘトヘトに疲れてしまいます。
ラクに聞けるように、重要なことやわかりにくいことは、くり返して話す必要があります。
☆ いいスピーチでも、書くとあまり文章になっていない
いいと思ったスピーチでも、紙に書くと、文章がおかしいところがあります。
きっちりしていないのです。
それに、レベルが低く感じます。
これが、話しことばです。
このようなことばでも、話すと自然に聞こえます。
スピーチは、耳で聞いてよかったら、いいスピーチなのです。
☆ 場面が浮かぶと、話に引き込まれる
書いた文は、抽象的な言葉でも、時間をかけて想像することができます。
聞いているときは、そんなゆっくりした時間はありません。
話し手は、すぐに絵が浮かぶ、場面が浮かぶように話すことが大切です。
ロシアの有名な演出家 スタニフスキーの言葉
「話すということは、相手の心に絵を描くこと」
「言葉で絵を描くように話す」とよく言います。
その場の情景が浮かぶように話すと、聞き手は話に引き込まれます。
☆ 相手の心を動かすには、感情を込めて話す
聞く気をなくす話し方
① 読み調子・一本調子
② 感情がこもっていない
③ 熱意が感じられない
感情を込めて、話しましょう。
うれしいときはうれしそうに、悲しいときは悲しそうに、驚いたときは驚きながら、話します。
気持ちが入ると、熱意が伝わり、相手の心を動かすことができます。
☆ スピーチは、最初にテーマを決めておく
話をわかりやすくするには、最初にテーマを決めておきましょう。
テーマ(自分が一番言いたいこと)を決めていないと、言いたいことがはっきりしません。
そのテーマを意識して話すのです。
広い範囲のテーマにすると、何を話していいのか、わからなくなります。
「話にする」のが、むずかしくなります。
そのために、テーマを絞ります。
テーマを絞ると、話しやすくなります。
「健康について」 → 「健康のために、毎日歩いている」
(× 広すぎるテーマ) (○ 絞られたテーマ)
☆ スピーチで、テーマから離れた話題を入れてもいいか?
スピーチで、「これも話したい」と、テーマから離れた話題を入れる人がいます。
テーマから離れた話題は、脱線です。
脱線してもいいのでしょうか。
脱線とわかれば、問題はありません。
聞き手が脱線だと思わないときが、問題なのです。
「これは余談です」というような断りがあればいいのです。
☆ 同じスピーチをキーワードをもとに、何度もしよう
スピーチは、ライブ感が大事
スピーチで大事なことは、ライブ感(そのとき出てきた言葉)です。
原稿の丸暗記では、ライブ感がなくなります。
スピーチは、キーワードをもとに、ふだんと同じように話すのです。
ジャズのアドリブのようにスピーチする
話がうまい人は、同じスピーチを何度でもできます。
言葉は変わりますが、キーワードをもとに、何度でも話せます。
同じスピーチをジャズのアドリブのように話せるのです。
☆ 「間」を使い分けよう
了解を求める「間」
話し手が、話をわかってもらうために、聞き手に了解を求める「間」。
「ここまで、よろしいでしょうか?( 間 )」
余韻を与える「間」
自分の感動を、相手にわかってもらうときに使う「間」。
「スランプから金メダル。よく頑張りましたねえ( 間 )」
想像させる「間」
「このあと、どうなる?」と、聞き手に想像させる「間」です。
「ガシャン( 間 ) ひゅーーー カメラが オリの中へ ~~ 」
注目を集める「間」
「しかし、何?」と、聞き手の注目を集めることができます。
「その方法はよくないという声もある、しかし( 間 ) ~~ 」
「 ~ 声もある。( 間 )しかし」よりも、インパクトがあります。
同意を求める「間」
聞き手に同意してもらうための「間」。
「今日から、3月ですね。( 間 )~ 」
考えさせる「間」
聞き手に質問して、考えさせる「間」。
「もし、宝くじで、1億円当たったら、どうしますか?( 間 ) ~~ 」
☆ ビデオカメラや鏡の前で、スピーチの練習をしよう
録画すると、自分のスピーチを客観的に確認できます。
表情・態度・身ぶり手ぶりなどもよくわかります。
聞き手から見た自分の話し方がよくわかります。
もっと手軽な方法は、鏡の中の自分に話すことです。
自分のスピーチを見るのは、最初は、恥ずかしく感じます。
しかし、だんだん慣れていきます。
この練習で、自然に話せると、本番でもうまく話せます。
☆ スピーチを覚える効果的な方法
① 全体を何度もくり返して、覚える。
軽く覚えて、短時間で、全体を何度もくり返したほうが効率的です。
② 口に出して、覚える。
口に出すと、記憶に残りやすいです。
③ 体を動かしながら、覚える。
歩きながら、手を動かしながらなど、体を動かすと脳が刺激されて効果的です。
④ 寝る直前に、覚える。
脳は、寝ている間に、覚えたことを定着させます。
覚えた後、携帯やテレビなどを見ずに寝ること。
☆ 強調は、プレゼンやスピーチの重要なテクニック
強調とは、大事なことばを際立たせるテクニック。
プレゼンやスピーチで、重要なテクニックです。
強調のテクニックを使うメリット
(1)大事なことばを際立たせることができる。
(2)メリハリ(変化)がつくので、話し方が単調にならない。
いろいろな強調のテクニック
例文
「吉野の桜は、今満開です」
ここでは、大事なことばを「満開」にします。
① スピード(緩急)
「満開」をゆっくり言う。
② 高低
「満開」を高い声で言う。
③ 強弱(大小)
「満開」を強く言う。
逆に、声を小さくすることもある。
④ 間をとる
「満開」の前で、間をとる。
「吉野の桜は今 (間)満開です」
「満開」の前後でとると、より強調される。
⑤ くり返す
「満開」をくり返す。
「吉野の桜は今満開、満開です」
⑥ ジェスチャーをつける
たとえば、「満開」のところで、両手を大きく広げる。
これらのテクニックは、よく組み合わせて使います。
強調をやりすぎると、わざとらしくなることがあるので、注意が必要です。